刻印デザインの由来
当ブランドは死生観をコンセプトとしているため
刻印が目に入った際にもコンセプトを思い出してもらいたいという想いから
オリジナル刻印も「死」に関連するモチーフを使いました。
静物画のジャンルの一つであるヴァニタスでは
代表的な死の象徴である頭蓋骨の他に
花、果物、砂時計、火が灯った蝋燭などが多く見られ
刹那的なもの、時の流れの早さ、時の経過を表しています。
また西洋の墓石では
羽の生えた頭蓋骨、交差する骨、羽の生えた砂時計などの
彫刻が施されているものがあります。
以上のような
歴史や伝統的な死の象徴の背景から刻印のモチーフを
「砂時計」と「火が灯った蝋燭」
の2つに絞り
それぞれのデザイン展開をしました。
そして
刻印は2~3mm四方の非常に小さなものであるため
モチーフの判別しやすさという点から
「砂時計」に決定しました。
しかし
死の象徴として「砂時計」を選んだものの
世の中にはシンプルな砂時計のアイコンが溢れており
刻印に適したシンプルさでありつつ、オリジナル性の高いものでなければならないため
様々な砂時計の形や、それの視点による見え方の変化を比較し、
熟考の末、下の清書に辿りつきました。
円柱や球体ではなく、直線で構築された砂時計をイメージし
平面と立体のデザイン展開を経て、
砂時計の天井が見える少し上からの視点のデザインとなりました。
この清書を元に
実際はこの視点ではパースの関係上そうはなりませんが
上下左右を対称化させ、シンボル的要素を高めました。
上からの視点を選んだ理由は2つあります。
1つは上下にある6角形は直角を3つ含んだ
120°毎に回転対称となる安定した図形になっており、
美しいデザインだと感じたからです。
そしてもう1つは
砂時計の上部にある「落ちていく砂」を見る視点ということです。
砂時計の下部にある「落ちた砂」 = 過ぎた時間 = 過去 の視点ではなく、
過去から学ぶものは大いにありますが、
大切なのは
「落ちていく砂」 = 過ぎていく時間 = 現在。
「死の微笑」というブランド名とブランドコンセプト、
そして「死」を象徴する砂時計の刻印。
そこにかけた想いを感じ取って頂けたら幸いです。